はじめに
さくらインターネットで管理している独自ドメイン(.com)を、Cloudflareへ移管する手順をまとめます。
今回はドメインの管理事業者を変更するだけでなく、Webサイトのホスティングと独自ドメインメールの受信環境もCloudflareへ移行する構成を扱います。
最終的な構成は以下のとおりです。
- ドメイン登録・更新:Cloudflare Registrar
- DNS管理:Cloudflare DNS
- Webホスティング:Cloudflare Pages
- 独自ドメインのメール受信:Cloudflare Email Routing
- メールの保存・閲覧:Gmail
- 旧Webサーバー:移行後に解約
既存Webサイトのコンテンツは移行せず、Cloudflare上で新しく構築する前提です。
また、メールは独自ドメイン宛ての受信をGmailへ転送し、返信はGmailアドレスから行う方式を採用します。
この方式では一般的な有料メールホスティングを契約する必要がなく、Cloudflareの無料サービスを中心に構成できます。
対象読者
- さくらインターネットで取得した.comドメインをCloudflareへ移管したい
- DNS管理をCloudflareへ統一したい
- WebサイトをCloudflare Pagesで構築したい
- 独自ドメインのメールをGmailへ転送したい
- 最終的にさくらのレンタルサーバーを解約したい
本記事は2026年11月時点の公式ドキュメントに基づいています。管理画面の表示や料金は変更される可能性があるため、実作業時には公式サイトも確認してください。
1. 移行前後の構成
移行前
独自ドメイン(example.com)
|
v
さくらインターネット
|
+-- ドメイン登録・更新
|
+-- DNS管理
|
+-- レンタルサーバー
|
+-- Webサイト
|
+-- メールサーバー
|
+-- メール受信
+-- メール保存
+-- メール送信移行後
独自ドメイン(example.com)
|
v
Cloudflare Registrar
|
+-- Cloudflare DNS
|
+-- Web
| |
| v
| Cloudflare Pages
| |
| +-- example.com
| +-- www.example.com
|
+-- Mail
|
v
Email Routing
|
v
Gmail
|
+-- メール受信
+-- メール保存
+-- Gmailアドレスから返信この構成では、ドメイン登録、DNS、Webホスティング、メール転送をCloudflareに集約できます。
なお、Cloudflare Email Routingはメール転送サービスであり、Gmailや一般的なレンタルサーバーのようなメールボックスサービスではありません。
IMAP、POP3、WebメールなどをCloudflare側で提供する構成ではないため、受信したメールの保存・閲覧にはGmailを使用します。
2. Cloudflareで利用するサービス
| サービス | 役割 | 費用 |
|---|---|---|
| Cloudflare Registrar | ドメイン登録・更新 | TLDごとの料金 |
| Cloudflare DNS | 権威DNSの管理 | Freeプランあり |
| Cloudflare Pages | Webサイトの公開 | Freeプランあり |
| Cloudflare Email Routing | 独自ドメインメールの転送 | 無料 |
| Gmail | 転送されたメールの保存・閲覧 | 無料アカウント利用可 |
Cloudflare Registrar
Cloudflare Registrarは、ドメイン登録・更新・移管を原価ベースで提供しています。
.comドメインの移管では、通常、移管料金に1年間の登録期間延長が含まれます。
料金は変更されるため、最新価格は公式サイトで確認します。
Cloudflare DNS
Cloudflareが提供する権威DNSサービスです。
無料プランでもDNSレコードの管理、DNSSEC、APIによるDNS操作などが利用できます。
ただしCloudflare Registrarでドメインを管理する場合、原則としてCloudflareの権威DNSを使用しなければなりません。
Cloudflare Pages
静的Webサイトやフロントエンドアプリケーションを公開できるサービスです。
HTML、CSS、JavaScript、Hugo、Astroなどを使用できます。
一方、従来のレンタルサーバーのようにPHPやMySQLをそのまま動かすサービスではありません。
動的処理が必要な場合はCloudflare WorkersやD1などのサービスを組み合わせます。
Cloudflare Email Routing
独自ドメイン宛てに届いたメールを、Gmailなどの外部メールアドレスへ転送するサービスです。
例えば次の転送が可能です。
contact@example.com
|
v
Cloudflare Email Routing
|
v
myaccount@gmail.comただし、Gmailから返信する場合の送信元は通常Gmailアドレスになります。
独自ドメイン名義で送信するには、別途メール送信サービスが必要です。
3. 移管前に確認すべき条件
Cloudflare Registrarへ移管する前に、以下を確認します。
- ドメインがCloudflare Registrarの対応TLDであること
- ドメイン取得から60日以上経過していること
- 他社からの直近の移管から60日以上経過していること
- 登録者情報の変更による60日間の移管制限がないこと
- ドメインが有効期限切れになっていないこと
- Registrar Lockを解除できること
- AuthCodeを取得できること
- Cloudflareアカウントに有効な支払方法が登録されていること
.comはCloudflare Registrarへ移管可能なTLDです。
移管タイミングに注意
さくらインターネットでは、gTLDドメインの更新費用は通常、有効期限の前々月に請求されます。
また、さくらの公式案内では、請求月の前月末までに移管が完了しなかった場合、更新費用の請求対象になるとされています。
そのため、移管申請だけでなく、実際の移管完了日を考慮したスケジュールを立てる必要があります。
Cloudflareの公式案内では、移管手続きの実作業は約30分、移管完了までの全体所要期間は最大10日程度です。
更新請求の直前ではなく、少なくとも数週間の余裕を確保することを推奨します。
参考:
4. 事前準備:現在のDNSとメール設定を確認
最初に、現在のDNSレコードとメール設定を確認します。
今回、旧Webサイトは不要ですが、メールだけは移行中に受信できなくなると困るため、メール関連の設定を重点的に調査します。
4-1. 既存DNSの確認
さくらインターネットの会員メニューにログインします。
- 「契約中のドメイン一覧」を開く
- 「ドメインコントロールパネル」を開く
- 対象ドメインのDNS設定を確認する
- 既存DNSレコードを控える
現在のネームサーバーが以下であれば、さくらのDNSを利用している可能性が高いです。
ns1.dns.ne.jp
ns2.dns.ne.jp別のネームサーバーを使用している場合は、そのDNS管理サービスで設定を確認します。
4-2. DNS確認コマンド
macOSやLinuxではdigを使って確認できます。
DOMAIN="example.com"
# ネームサーバー
dig NS "$DOMAIN" +short
# WebサイトのIPアドレス
dig A "$DOMAIN" +short
dig AAAA "$DOMAIN" +short
# メール受信先
dig MX "$DOMAIN" +short
# TXTレコード
dig TXT "$DOMAIN" +short
# DMARC
dig TXT "_dmarc.$DOMAIN" +short
# DNSSECのDSレコード
dig DS "$DOMAIN" +shortこれらのコマンドで代表的なDNSレコードを確認できます。
ただし、DNSゾーン内のすべてのサブドメインやDKIMセレクタを自動列挙できるわけではありません。
必ずDNS管理画面の設定と照合してください。
4-3. メールアドレスの確認
さくらのレンタルサーバーコントロールパネルで、使用中のメールアドレスを確認します。
例えば次のようなアドレスです。
contact@example.com
admin@example.com
info@example.comさらに以下も確認します。
- メールエイリアス
- 自動転送設定
- Catch-all設定
- メーリングリスト
- Webフォームの送信先
- 外部サービスに登録したメールアドレス
Cloudflare Email Routingでは、転送ルールが設定されていないアドレス宛てのメールは拒否されます。
必要なアドレスは事前にすべて把握しておく必要があります。
4-4. 既存メールのバックアップ
Cloudflare Email Routingは、既存メールボックスのデータを移行しません。
そのため、さくらのメールボックスに保存されている過去メールが必要な場合は、Thunderbirdなどを使ってローカルに保存するか、別のメールサービスへ移行してください。
旧Webサイトのデータは不要でも、過去のメールや重要な添付ファイルは残しておく方が安全です。
5. Cloudflareへドメインを追加
次にCloudflare DNSへ対象ドメインを追加します。
5-1. Cloudflareアカウントの準備
Cloudflare Dashboardへログインします。
Cloudflareのアカウントには、多要素認証(MFA)を設定することを推奨します。
また、アカウントのログインメールアドレスは、移管対象の独自ドメインとは別のメールサービスにしておくと、DNS障害時の復旧手段を確保できます。
5-2. ドメインの追加
- Cloudflare Dashboardを開く
- 「Add a domain」からドメインを追加
example.comを入力- Freeプランを選択
- DNSレコードのスキャン結果を確認
Cloudflareは既存DNSレコードを自動検出しますが、すべてのレコードを正確に取得できるとは限りません。
手動で既存設定と照合する必要があります。
5-3. 初期DNS設定
最初はメールをさくらで受信する状態を維持します。
DNSレコードは、概ね次の構成にします。
| 種類 | 名前 | 値 | 用途 |
|---|---|---|---|
| A | @ | 既存WebサーバーIP | Web |
| CNAME | www | example.com | Web |
| MX | @ | 既存メール受信先 | メール受信 |
| TXT | @ | 既存SPF | メール認証 |
| TXT/CNAME | DKIMセレクタ | 既存設定 | メール認証 |
| TXT | _dmarc | 既存DMARC | メール認証 |
既存Webサイトを維持しない場合、Web用レコードは後で削除・変更しても構いません。
一方、メール用のレコードはEmail Routingへ切り替えるまで維持します。
6. DNSSECの確認と無効化
DNSSECが有効なドメインでは、ネームサーバー変更前に旧DNSSECの設定を確認する必要があります。
DNSSECの確認
dig DS example.com +shortDSレコードが返ってくる場合、親ゾーンにDNSSECの情報が登録されています。
現在のDNSSECが有効なら、登録事業者側で旧DSレコードを削除・無効化します。
Cloudflare公式では、DNSSECを無効化してから少なくとも24時間待ち、その後ネームサーバーを変更する手順を案内しています。
DNSSECが無効なら、この作業は不要です。
旧DSレコードを残したままNSを切り替えると、DNSSECの検証失敗によってドメインの名前解決ができなくなる場合があります。
参考:
Cloudflare:Registrar移管前のDNSSEC設定
7. さくらのネームサーバーをCloudflareへ変更
CloudflareへDNSレコードを登録したら、ドメインのネームサーバーを切り替えます。
7-1. Cloudflareのネームサーバーを確認
Cloudflare Dashboardでドメインに割り当てられたネームサーバーを確認します。
例えば次のような形式です。
alice.ns.cloudflare.com
bob.ns.cloudflare.com実際には各アカウントに割り当てられた名前を使用してください。
7-2. さくら側で変更
さくらインターネットの会員メニューで以下を操作します。
- 「契約中のドメイン一覧」
- 「ドメインコントロールパネル」
- 対象ドメインの「Whois」
- 「ネームサーバーを編集」
- Cloudflareが指定した2つのNSを入力
- 「保存する」
古いネームサーバーは残さず、Cloudflare指定のNSへ置き換えます。
ネームサーバー名の末尾にドットを付けずに登録してください。
7-3. 名前解決の確認
dig NS example.com @1.1.1.1 +short
dig NS example.com @8.8.8.8 +shortさらに以下で委任関係を確認できます。
dig example.com +traceCloudflare Dashboardでドメインのステータスが「Active」になったら、DNSの切り替えは完了です。
Cloudflareの公式案内では通常は短時間ですが、Activeになるまで最大24時間程度かかる場合があります。
参考:
8. Cloudflare Email Routingを設定する
Cloudflare DNSがActiveになったら、メールをGmailへ転送する設定を行います。
8-1. Email Routingとは
Cloudflare Email Routingは、独自ドメイン宛てのメールを外部のメールアドレスへ転送するサービスです。
今回の構成では次のようにします。
contact@example.com
|
v
Cloudflare Email Routing
|
v
myaccount@gmail.comCloudflare側にはメールを保存する一般向けメールボックスはありません。
そのため、Gmailを受信メールの保存先として利用します。
8-2. 転送先Gmailを登録
Cloudflare DashboardのEmail Routing画面を開きます。
管理画面の構成によっては、ComputeまたはEmail Serviceメニュー配下にあります。
「Destination Addresses」から以下を操作します。
- 「Add destination address」を選択
- 転送先Gmailアドレスを入力
- Gmailに届く確認メールを開く
- 確認リンクから認証
- Cloudflare側でVerifiedになったことを確認
ここで登録するGmailは、独自ドメインとは別のアドレスを使います。
8-3. 既存MXレコードを削除
Cloudflare Email Routingを有効にするには、他社メールサービスのMXレコードを削除する必要があります。
既存のさくら用MXが残っていると、Cloudflare側でエラー2008(Non-Cloudflare MX records exist)が発生する場合があります。
推奨する切り替え順序は次のとおりです。
- Gmailの転送先認証を完了
- 使用する転送ルールを整理
- 既存のさくらMXレコードを削除
- 直ちにCloudflare Email Routingを有効化
- Cloudflareが必要なMXレコードを作成したことを確認
- 直ちに必要な転送ルールを作成・有効化
MX削除からEmail Routing有効化までの時間は、できる限り短くします。
DNSキャッシュが残っている場合、しばらく旧さくらサーバーへメールが届くことがあるため、旧サーバーはすぐに解約しません。
参考:
Cloudflare:Domain configuration / Move to Email Routing from another provider
9. Cloudflare Email RoutingのDNSレコード
Email Routingを有効化すると、Cloudflareが専用のMXレコードを設定します。
一般的な構成例は以下です。
| 種類 | 名前 | 値 |
|---|---|---|
| MX | @ | route1.mx.cloudflare.net |
| MX | @ | route2.mx.cloudflare.net |
| MX | @ | route3.mx.cloudflare.net |
| TXT | @ | v=spf1 include:_spf.mx.cloudflare.net ~all |
| TXT | cf2024-1._domainkey | Cloudflare指定のDKIM公開鍵 |
MXのPriorityはCloudflare管理画面で指定された値を使用してください。
上記のDKIM公開鍵も実際の管理画面から取得します。
SPFについて
Cloudflare Email Routingでは、転送に必要なSPF設定が使用されます。
例:
example.com. TXT "v=spf1 include:_spf.mx.cloudflare.net ~all"ただし、既存のSPFレコードがある場合は、Cloudflareの案内に従って統合する必要があります。
SPFレコードを複数作成してはいけません。
また、独自ドメインでのメール送信を完全に停止する場合は、不要になった旧SMTPサーバーの許可設定を削除できる可能性があります。
SPFは実際の送信元に合わせて設定してください。
DKIMについて
Cloudflare Email Routingでは、転送メールを認証するためのDKIM設定が使用されます。
例えば以下のようなセレクタです。
cf2024-1._domainkey.example.com公開鍵の値はCloudflareが提供するものを設定します。
DMARCについて
DMARCは、独自ドメインを名乗るメールの認証ポリシーを定義する仕組みです。
受信専用ドメインでも、なりすまし対策として有用です。
ただし、Cloudflare Email Routingを有効化するだけで、すべての正当な転送メールがDMARCに合格するわけではありません。
元の送信者側のSPF・DKIM・DMARC設定や、転送先Gmail側の判定にも影響されます。
また、受信専用であることを理由に、送信していないことを宣言するDMARCポリシーへ即座に変更するのは避け、実際に外部サービスからドメイン名義で送信していないかを確認してください。
10. Email Routingの転送ルールを作成
「Routing Rules」から転送ルールを作成します。
例えば以下のように設定します。
| 独自ドメインメール | 転送先 |
|---|---|
| contact@example.com | myaccount@gmail.com |
| admin@example.com | myaccount@gmail.com |
| info@example.com | myaccount@gmail.com |
基本的な設定は次のとおりです。
Email pattern:
contact@example.com
Action:
Send to an email
Destination:
myaccount@gmail.com
Status:
EnabledCloudflareはCatch-allにも対応しています。
Catch-allを有効化すると、明示的な転送ルールがない宛先へのメールも受信できます。
ただし、存在しないアドレスへの迷惑メールも転送されるため、通常は必要なアドレスだけ登録する方法を推奨します。
メールの動作確認
以下をテストします。
- Gmail以外のメールサービスから独自ドメイン宛てへ送信
- Gmail側で受信できることを確認
- 複数の独自ドメインアドレスへの配送
- 添付ファイル付きメールの受信
- Gmailの迷惑メールフォルダーへの誤配送確認
- Gmailからの返信
- 旧さくらメールボックスへの新着メールの有無
Email Routingで受信したメールにGmailから返信すると、通常はGmailアドレスが送信元になります。
独自ドメイン名義で返信する仕組みは、今回の構成には含まれません。
Email Routingの制約
Cloudflare Email Routingには主に次の制約があります。
- 1通あたりのメールサイズ制限がある
- 通常のメールボックスを提供しない
- IMAP・POP3でCloudflareから受信することはできない
- 独自ドメインでの通常のメール送信は別機能
- 転送先サービスの容量・迷惑メール判定に依存する
- 転送ルールに一致しない宛先は拒否される
- 一部のメールは転送時の認証チェックによって配送できない場合がある
メールサイズ上限などの最新仕様は公式ドキュメントで確認してください。
参考:
11. Cloudflare PagesでWebサイトを公開
メールの移行とは別に、WebサイトをCloudflare Pages上に構築します。
既存コンテンツを移行しない場合、最初は単純なHTMLページだけでも問題ありません。
11-1. HTMLファイルを作成
例えば以下のindex.htmlを作成します。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1">
<title>My Website</title>
</head>
<body>
<h1>Welcome to my website</h1>
<p>This website is hosted on Cloudflare Pages.</p>
</body>
</html>11-2. Pagesプロジェクトを作成
Cloudflare Dashboardから「Workers & Pages」を開きます。
- 新しいPagesプロジェクトを作成
- Git連携またはDirect Uploadを選択
- プロジェクト名を設定
- HTMLファイルをアップロード
- デプロイを実行
例えば、プロジェクト名がpersonal-webの場合、次のようなURLが発行されます。
https://personal-web.pages.devこのURLでページが表示されることを確認します。
Direct Uploadの注意点
Direct Uploadで作成したPagesプロジェクトは、後から同一プロジェクトをGit連携方式へ変更できません。
GitHubでソースコードを管理し、自動デプロイしたい場合は、最初からGit連携を選ぶ方が適しています。
11-3. 独自ドメインを設定
Pagesプロジェクトの「Custom domains」を開きます。
- 「Set up a domain」を選択
example.comを登録- 必要に応じて
www.example.comも追加 - DNS設定とドメインの関連付けを完了
- HTTPS証明書の有効化を確認
Cloudflare DNSで管理しているドメインであれば、Pages側から必要なDNSレコードを設定できます。
CNAMEレコードだけを手動追加して終わりにせず、PagesプロジェクトのCustom domainsで関連付けまで完了させてください。
参考:
12. さくらインターネットでドメイン転出申請
Cloudflare DNSがActiveになったら、ドメインの管理事業者をCloudflare Registrarへ移管します。
Cloudflareでは、Registrar移管を行う前にCloudflare DNSへの切り替えが必要です。
12-1. AuthCodeを取得
さくらインターネットの会員メニューで、以下を操作します。
- 「契約中のドメイン一覧」を開く
- 対象ドメインの「転出」を選択
- 「転出申請を進める」をクリック
- 必要事項を入力
- 転出申請を確定
- 発行されたAuthCodeを取得
AuthCodeは、他社Registrarへドメインを移管するための認証コードです。
EPP CodeやAuthorization Codeなどと呼ばれる場合もあります。
さくらインターネットのgTLD転出では、AuthCodeの有効期間は初回発行から35日間です。
転出手数料は無料です。
AuthCodeは第三者へ公開しないでください。
12-2. Registrar Lockを確認
移管申請時には、ドメインの移管ロックが解除されている必要があります。
RDAPなどでドメインのステータスを確認できます。
clientTransferProhibitedこのステータスがある場合、通常は移管が制限されています。
さくらの転出手続き後もCloudflareで移管できない場合は、さくら側のロック解除状況を確認してください。
参考:
13. Cloudflare Registrarで移管申請
Cloudflare Dashboardで「Domain Registration」→「Transfer Domains」を開きます。
13-1. 移管申請
- 移管対象のドメインを選択
- AuthCodeを入力
- 登録者情報を確認
- 支払方法を確認
- 移管料金を決済
- 移管申請を確定
この時点でCloudflare DNSがActiveでなければ、移管処理を進められません。
13-2. 移管承認
移管申請後、登録者メールアドレスへ承認依頼が届く場合があります。
さくらインターネットの公式手順では、JPRSから次のようなメールが届く場合があると案内されています。
レジストラトランスファーアウト意思確認のご案内メールの内容を確認し、自分で申請した移管であることを確認して承認します。
移管処理は通常数日で完了しますが、申請状況によっては最大10日程度かかる場合があります。
13-3. 移管完了の確認
Cloudflare Registrarの管理画面で以下を確認します。
- ドメインが移管完了状態になっている
- 登録事業者がCloudflare側に変更されている
- 登録有効期限が延長されている
- Auto-Renewが有効になっている
- 登録者情報が正しい
- 支払方法が有効である
.comドメインの移管では通常1年間の登録期間が追加されます。
ただし、最近失効したドメインを更新してから45日以内に移管する場合などは、追加の1年間が付与されない例外があります。
参考:
Cloudflare Registrar:Transfer your domain
14. DNSSECを再有効化
Registrar移管完了後、CloudflareでDNSSECを有効化します。
Cloudflare Dashboardで対象ドメインのDNSSEC設定を開きます。
- DNSSECを有効化
- 親ゾーンへのDS登録状況を確認
- DNSSECの検証状態を確認
DNSSECの状態は以下でも確認できます。
dig DS example.com +shortまた、DNSSEC検証に対応したリゾルバで正常に名前解決できることも確認します。
旧DNSSECの情報が残っている場合、名前解決不能の原因になることがあるため注意してください。
15. さくらのレンタルサーバーを解約
Webとメールの移行、Registrar移管がすべて完了したら、さくらのレンタルサーバーを解約できます。
ただし、解約前に次の項目を確認してください。
- Cloudflare DNSが正常に動作している
- WebサイトがCloudflare Pagesで表示できる
- Email RoutingによってGmailで受信できる
- 必要なメールアドレスがすべて転送対象になっている
- 旧メールボックスに重要な未移行メールが残っていない
- 旧Webサイトのデータを削除してよい
- 他のドメインやサービスが同じレンタルサーバーを使用していない
- ドメイン登録の移管が完了している
解約方法
さくらインターネット会員メニューで以下を操作します。
- 「契約中のサービス一覧」を開く
- 解約するレンタルサーバーを選択
- 「解約」をクリック
- 注意事項を確認
- 解約申請を確定
ここで重要なのは、ドメインの廃止申請とレンタルサーバーの解約を混同しないことです。
ドメイン自体はCloudflare Registrarで維持するため、さくらでドメインを廃止する必要はありません。
また、サーバー契約を終了すると、保存されていたWebデータやメールデータは削除対象になります。
必要なデータは事前に保存してください。
参考:
16. 移行後のDNS構成例
すべての移行が完了すると、DNSは概ね以下の構成になります。
| タイプ | 名前 | 内容 |
|---|---|---|
| CNAME | @ | Cloudflare Pagesのホスト名 |
| CNAME | www | Cloudflare Pagesのホスト名 |
| MX | @ | Cloudflare Email Routing |
| TXT | @ | Cloudflare用SPF |
| TXT | DKIMセレクタ | Cloudflare指定の公開鍵 |
| TXT | _dmarc | メール認証ポリシー |
実際のレコード値はCloudflare Dashboardで発行された値を使用します。
Cloudflare Pagesの独自ドメイン設定では、DNSが自動設定される場合があります。
また、移行後に不要になったさくらのWebサーバーIP、SMTPサーバー、DKIMなどのレコードは、他の用途で使用していないことを確認した上で整理します。
17. 移行後の動作確認
最終的に以下を確認します。
ドメイン・DNS
- Cloudflare Registrarへの移管完了
- ドメイン有効期限の延長
- Auto-Renewの有効化
- Cloudflare DNSがActive
- DNSSECの正常動作
- 不要なDNSレコードの削除
Web
- 独自ドメインでWebサイトを表示できる
- www付きドメインでも表示できる
- HTTPS証明書が有効
- Cloudflare Pagesのデプロイが正常
- 不要な旧WebサーバーへのDNS参照がない
メール
- Email RoutingがActive
- Gmailの転送先認証が完了
- 必要な転送ルールがすべて設定済み
- 外部からメールを受信できる
- Gmailから返信できる
- 添付ファイル付きメールを受信できる
- 旧さくらメールボックスに必要なメールが残っていない
旧環境
- 必要なメールデータを保存した
- さくらレンタルサーバーの解約が完了
- 不要な契約の更新予定がない
- ドメインの廃止申請を行っていない
18. トラブルシューティング
Cloudflare DNSがActiveにならない
以下を確認します。
- さくらのネームサーバー設定が正しいか
- 旧ネームサーバーが残っていないか
- DNSSECの旧DSレコードが残っていないか
- NS変更後の反映時間が経過しているか
メールが届かない
以下を確認します。
- Cloudflare Email RoutingがActiveか
- MXがCloudflare指定の値になっているか
- GmailのDestination AddressがVerifiedか
- 対象アドレスのRouting RuleがEnabledか
- Gmailの迷惑メールフォルダーに入っていないか
- 旧さくらMXのキャッシュにより、旧メールボックスへ配送されていないか
Webサイトが表示されない
以下を確認します。
- Pagesプロジェクトがデプロイ済みか
pages.devのURLで正常に表示できるか- Custom domainsの設定が完了しているか
- HTTPS証明書が有効か
- 古いA/AAAA/CNAMEレコードが競合していないか
Cloudflare Registrarへ移管できない
以下を確認します。
- Cloudflare DNSがActiveになっているか
- ドメインが60日間の移管制限中ではないか
- Registrar Lockが解除されているか
- AuthCodeが正しいか
- AuthCodeの有効期限が切れていないか
- 支払方法が有効か
19. 費用と運用上の注意点
今回の構成では、Cloudflare DNS、Cloudflare Pages、Cloudflare Email Routingを無料枠内で使用できます。
主な継続費用は、.comドメインの年間更新料金です。
ただし以下については、別途費用が発生する可能性があります。
- Cloudflareの有料プランや追加機能
- Pages FunctionsやWorkersの有料利用
- Gmailの有料ストレージ
- 既存レンタルサーバーの解約までの利用料金
- ドメイン料金に関する税金や為替換算コスト
実際の費用は、Cloudflare Registrarの料金表および各サービスの料金ページで確認してください。
また、Cloudflare Registrarには、登録中のドメインでCloudflare以外の権威DNSを直接使用できないという制約があります。
将来、DNS管理を他社へ変更する場合は、Registrarの移管が必要になることがあります。
メール運用の注意点
Email Routingは無料で便利ですが、通常のメールボックスとは異なります。
特に、次の制約を理解しておく必要があります。
- 独自ドメイン名義での通常の返信には別途送信機能が必要
- 転送先Gmailの容量やサービス状態に依存する
- 過去メールは自動的に移行されない
- 大容量の添付メールを受信できない場合がある
- 転送元のメール認証ポリシーによって配送が失敗することがある
受信専用の個人用独自ドメインであれば実用的ですが、重要な業務メールや受信保証が必要な用途では、専用メールホスティングの利用も検討すべきです。
20. まとめ
さくらインターネットで管理している.comドメインを、Cloudflareへ移行する手順を紹介しました。
今回は次の構成に移行します。
| 項目 | 移行前 | 移行後 |
|---|---|---|
| ドメイン登録 | さくら | Cloudflare Registrar |
| DNS管理 | さくら | Cloudflare DNS |
| Webホスティング | さくらのレンタルサーバー | Cloudflare Pages |
| メール受信 | さくらのメールサーバー | Cloudflare Email Routing |
| メール保存 | さくらのメールボックス | Gmail |
| メール返信 | 独自ドメインのSMTP | Gmailアドレス |
| 旧レンタルサーバー | 利用中 | 解約 |
最も重要なポイントは、ドメイン移管、DNS切り替え、メール移行、Web移行、レンタルサーバー解約を別々の作業として扱うことです。
特にCloudflare Registrarへの移管には、先にCloudflare DNSをActiveにする必要があります。
また、メールの受信先を変更する際は、旧MXレコードのキャッシュや転送ルールの設定漏れに注意する必要があります。
Webサイトを新しく作り直し、独自ドメインメールは受信専用にする構成なら、Cloudflareの無料サービスを活用して、低コストかつシンプルな環境へ移行できます。
ただし、旧レンタルサーバーを解約するのは、メールの動作確認と必要なデータの保存が完了してからにしてください。
参考リンク
さくらインターネット
Cloudflare
- Transfer your domain to Cloudflare
- Cloudflare Registrar Pricing
- Update nameservers
- Email Service - Domain configuration
- Email Service - Limits
- Cloudflare Pages - Direct Upload
- Cloudflare Pages - Custom domains
最終確認:2026年11月8日。実際の管理画面、利用条件、料金は変更される可能性があります。
出典・参考情報
- さくらインターネット:gTLDドメインを転出したい
- さくらインターネット:ネームサーバー情報を変更したい
- さくらインターネット:gTLDドメインを更新したい
- さくらインターネット:サービスの解約をしたい
- Cloudflare:Transfer your domain to Cloudflare
- Cloudflare Registrar Pricing
- Cloudflare:Update nameservers
- Cloudflare Email Service — Domain configuration
- Cloudflare Email Service — Limits
- Cloudflare Pages — Direct Upload
- Cloudflare Pages — Custom domains